12看護師が見た「K-1君のエピソード」
K君の特徴
50歳以上 男性 言葉での表現ができる 早口で物事を伝えようとする
まっすぐに歩けるが、前傾姿勢になりやすい
K君は、いつもあわてていました。作業は能力があり、こなせるのですが、ごみが落ちていると、気になり、どうしても拾ってしまわないと、気がすみません。
母親と外出する時も、自宅へ外泊する時も、施設で散歩する時も、施設の中でも、常に、ごみが落ちているのが、気になる、脅迫的でした。
そのごみを拾うのに、道路の車などの、危険を回避することなど、眼中になく突進してしまいます。
特に施設の生活では、危険を職員が知らせても、聞こえていても、夢中にごみに向かっていくのです。
仕方がないので、危険な行為(ごみを見て突進すること)をしないように、約束するのですが、なかなか、守ることができないため、
職員が強く叱ったり、走れないように、マンツーマンで対応します。
交通事故にはあっていませんが、運転手の人は、びっくりでしょう。
いきなり道路の真ん中のごみに突進しようとするのですから。
なんとか施設の職員さんも、個別の対応で、生活していてもらいましたが、ある問題がありました。
いつもあわてている、K君です。
食事の時も、早口で、話をしながら、口に食事が入っていても、ムセながら食べていました。
誤嚥性肺炎になってしまいました。
ある病院に受診した時には、極度の貧血と、栄養失調と診断され、多動の為、普段の食事ではまかないきれず、栄養補助食品を飲むことになりました。
しばらくは、栄養補助食品で全身状態は改善されましたが、飲まなくなるとすぐに悪くなりました。
何度も、誤嚥性の肺炎に苦しみ、重篤な状態になり、亡くなってしまいました。
K君はきっと、汚れていてはいけない!ごみを減らさなくてはと思っていたのでしょうか。
そんなに、急がなくても、ゆっくりとごみを拾って、ごみ箱に入れたりすればよかったのにと、もっとゆっくり人生やって行けたのにと、もっと支援者を多くしていれば、個人の特徴を捉えることができたはずと、筆者は想いかえします。
筆者 看護師 桔梗