16看護師が見た「K-2 君のエピソード」

Kさんの特徴

Kさん 40歳代の男性 背は低い  他の利用者さんを噛むことがあった 

狭頭症の手術を幼いころに受けていました。

狭頭症頭蓋縫合早期癒合症、頭蓋骨癒合症、頭蓋骨早期癒合症)

頭蓋骨縫合早期癒合症(とうがいこつほうごうそうきゆごうしょう)とは、頭蓋骨縫合が早期に癒合した結果生じる頭蓋の変形と、それにともなうさまざまな臨床症状を合わせたものの総称で、「狭頭症(きょうとうしょう)」ともいいます。

K君はクルクル回るのが好きです。

なぜかは解りませんが、いちいち回ります。散歩や歩行に行っても、歩きながら回ります。

転んだりはしません。

いつも家への外出や、外泊の時は、いつもお母ちゃんと一緒です。お母ちゃんと手をつないで、帰って行ったり、外出したりします。

コンビニの外で、何か買ってもらったのでしょう。コンビニの外でお母ちゃんと食べているのを、よく見かけます。

姉か妹さんがいましたが、お母ちゃんに協力していました。

入所の施設に入ったのは、児童の入所の施設が、年齢超過の為に出なければなりませんでした。

家族は、家で毎日K君を見守ることが出来ないので、大人の入所の施設を探していました。

ちょうどこの施設が新設で入所募集をしていましたので、入所することが出来ました。

児童の知的障害の入所施設では、いずれ施設を出なければいけません。運動能力の高い知的障害の人は、小さい子供の頃は、家族で何とか見守れますが、夜も眠れないことがある、知的障害の人の世話においては、本人さんの成長とともに、見守りの困難が増します。

障害者同士で助け合えることもあるでしょうが、助け合うこともできない知的障害の人もいます。

児童の施設の年齢超過はいずれ来ます。

がしかし、次に大人の施設が、空きがあるとは限りません。

子どもの重度の知的障害者は、いずれ大人の施設が必要なことは、国も自治体も理解してくれていると思っています。

大きな施設を公立では困難でしょうか。

民間も、大きな施設を建てるのに、資金が必要ですし、その施設で働く人材を確保して、運営していくのにも、莫大な資金が必要でしょう。

施設も借金をして建てても、運営が黒字になることも、念頭に考えてはいてくれているはずですが、どうでしょうか?

今は、本人さんの契約で、本人さんが利用料を支払っています。(障害基礎年金でしか収入がありません。)

K君は、そんな中で毎日入所の施設でせいかつしていました。

あるエピソードがありました。

他の利用者さんの耳が噛み千切られていました。みんなが外に行く準備をしていて、職員さんの見守りが、薄くなっているその瞬間でした。

その場にいたK君ともう一人の利用者さんが疑われてしまいました。

そのエピソードより以前から、K君ともう一人の利用者さんは、よく、他の仲間の利用者さんに、噛んだりする他害が目立っていました。

特に耳を噛み千切られていた利用者さんは、いつもじっとしていられず、後回しにされると、暴力的になる利用者さんでした。

K君は今でも、噛む他害をする訳ではなく、あのエピソード以来、個別に支援するようになりました。

噛んでしまうあの頃のK君は、仲間の利用者さんが、騒音のようにやかましかったのだと、筆者は感じます。

それから、狭くて余裕のないプレイルームに、たくさんの仲間の利用者さんと、入れられて、「僕は静かなところがいいよー、奇声や暴言を吐く、騒音の、やかましい所はイヤだよ」とK君は言いたいのでしょう。

筆者 看護師  桔梗