18看護師が見た「i-1君のエピソード」

i君の特徴

i君  背が180cm位  やせ形  

言葉でのコミュニケーションが出来ない  てんかん発作あり

i君のエピソード

i君は、もう20年前に亡くなりました。

家に帰宅中に、

のどに食べ物を詰まらせて、

救急車で運ばれましたが、手遅れでした。

お母さんは、

きっとおいしいものを

食べさせたかったし、

i君も、

施設では自由に食べられないから、

家に帰宅して、

たくさん食べたかったのでしょうか。

入所施設では、

決まった時間と

スケジュールで日課をこなしています。

しかし、

定期的な医療機関への通院は、

日課とは少し、違っています。

i君はてんかん発作を、

おこしていましたが、

入所して間もなく、

薬でのコントロールすることが、

可能になっていました。

しかし、

歯科通院は、

障害者専門の歯科でないと、

出来ませんでしたし、本人の拒否が強いで、

歯科治療の専門家にお願いするより

仕方ありません。

i君は、

言葉での意思表示はしませんでしたが、

身体で拒否したり、

自販機の前で座り込んだり、

治療を勝手に終了しようとしたりと、

大きな体で、スタッフを圧倒させます。

こんなエピソードがありました。

毎回の歯科通院の時です。

はじめは普通に乗車していたのです。

ある仲間の利用者さんで、

車の中でじっとして

いられない人がいました、

その利用者さんは

出発から下車まで、席を立ちたがるのでした。

スタッフがかかりきりにならなければいけない

利用者さんがいました。

だんだん、

その利用者さんのまねなのか、

走行中の車の中で、

i君は立ち上がるようになりました。

最初は、

スタッフの声掛けだけで、

座ることができました。

ところが間もなく、

立ち上がると、

ズボンを下げて、

おしりまるみえにするようになり、

スタッフもビックリです。

ワゴン車でしたから、

普通車からは見えにくいかもしれません。

が、しかし、

市バスやトラックの乗車している人が、

じろじろ見ています。

大人の普通の人がそんなこと

(おしりまるみえ)はしませんから、

見た施設以外の方からは、びっくりです。

代わる代わるスタッフも、

まさか車の中で、

おしりまるみえにはびっくりしました。

声掛けでは、ズボンをあげてはくれないi君に、

車を一旦停車させては、

ズボンをあげてもらっていましたが、

その努力はむなしく、

i君は面白くてしかたがないようでした。

そのうち、

散歩中、外出時、食事中、

ありとあらゆる時間に、

ズボンを下げ、

おしりまるみえ行為に、

スタッフは困り果てました。

チャックつきの(鍵がある)

つなぎの服を着ることになりました。

それでも、

やはり彼のおしりまるみえ衝動には、

困っていました。

とうとう、つなぎの服を、

破いてしまいます。

そして、

とうとう

手に介護用ミトンをして、

服をつかめなくし、

破かれることがないようにしました。

そうして、iは、外出にも、

何をするにも、

つなぎの服を着ていました。

そして介護用ミトンもします。

勿論本人の持ち物として、

買い、

そして1枚の値段が高く、

壊されないようにしていました。

鍵付きのつなぎの服は、

スッタフ全員が、

鍵を持つようにしました。

そうでないと、

トイレ誘導の時、

i君は、自分で服を脱ぐことが出来ないからです。

なんだか、どこかが変ですね。

自分でトイレに行くことが出来るのに、

その問題行動(おしりまるみえ行動)が

対処できないため、

かえって、スタッフの介護が面倒なことに、

なっていました。

そして、つなぎの服を着て、

ミトンをしていても、トイレがしたいアピールが

あるたびにスタッフトイレ介助が必要で、

トイレのアピールを「さっき言ったでしょう?」

といってしまうと、

今度は、つなぎの服の中で、

失便、尿失禁と、目まぐるしく、

スッタフの仕事はどんどん

増えている有様です。

なんだか知恵くらべです。

i君は、楽しんでいるのか、叱られたいのか、

分からなくなっていたのでしょうか?

誰でも気部転換は必要です。

学校の授業も休憩があります。

仕事場でも、退屈になると、

眠くなります。

スポーツ選手も・・・

誰でも人は、機械のようにはできません。

しかし、工夫次第で、

何とかすることが出来るのが

人間です。

i君たちのように、

知的な発達障害があったとしても

知的な発達障害があるからこそ、

何時間も、プレイルームにいたり、

作業室で同じことをしたりが、

苦手な人もいます。

施設のスタッフを都合つけて、

気分転換を上手にやることが、

必要です。

施設に押し込められてる感じを

解放させてあげたいと、筆者は考えます。

iはきっと天国で見ているでしょう。

「もっと僕はいろんなことを

体験したかったなあって・・・」

筆者 看護師 桔梗

19看護師が見た「Y-2 君のエピソード」

y君の特徴

y君  50歳代  男性  体の障害はない  言葉はイーコーとしか     言うことしか出来ない  ダウン症

y君のお母さんは、高齢になってきていました。

幼少のころから児童の入所施設にいました。

大人になり、保護者の介護困難により

大人の入所施設生活することになりました。

大人の施設では、

同性介護でなければいけませんので、

当然、男性の支援員に、

利用者さんが出来ないことは

やってもらいます。

児童の入所施設では、職員さんに甘えたり出来ました。

児童の施設や、お母さんには甘えるようには、できませんでした。

男子棟や女子棟に分かれてしまう生活場面では、

大人の施設ですから、

なかなか、甘えたりできません。

着替えとか、排せつ誘導とかを除いた時間位、

女子の支援員さんに甘えたり、

一緒にお手伝いしたり、

出来るのに、

残念ながら出来ません。

y君は、何かと口をとがらせて、

イイコー」と繰り返しいいます。

お母さんが教えたのでしょうか?

イイコー」と言って、

褒めて欲しいんでしょうか?

誰でも、

意地悪されるより、

褒めてもらいたいですよね。

作業室では、作業をできる人が、

支援員さんと一緒に仕事しています。

仕事をするには、

集中力がいります。

手先の器用な人が向いています。

Y君は、集中力も試されず、

じっと座っていられないので

作業には向いていなかったのでしょう。

しかし、

ご両親としては、

障害者の中でも

優秀でいてほしかったのでしょうが、

施設では、療育班で生活していました。

お金を稼げる作業班は、

良育班よりもエリートです。

はたして、

世間にも役に立ちそうもない

療育班は、劣等生でしょうか?

世間では最近、

知的障害の人の入所施設で

殺傷事件が起きたばかりです。

知的障害の人を殺してしまった事件です。

悲しすぎます、何も悪いことをしていない、

知的障害の人を殺してしまおうなんて。

知的障害の人で自分で買い物にいける人は、

一人で買い物に行っていました。

一人で行動できない

利用者さんは、

地域の人の交流の場所に参加するとよいといい

と筆者は考えます。

もっと生涯教育として、

地域の教育センター、老人会、

小学校、中学校、高校、

そして大学との交流など、

もっともっと社会の人に

知ってもらうことが大切と、

筆者は考えます。

地域の空いている土地を活用して、

野菜作りや、

空き地の草むしりや、

療育班の人だけではなく、

高齢になった保護者さんと一緒に、

スタッフも一緒になって

活動すれば

もっといろんな人に、

すばらしい笑顔の持ち主の、

知的障害の利用者さんと交流すれば、

やさしい心が育まれるでしょう。

Y君は、いろんな人に、

イイコー」と言って、

いい気分にさせてあげるから、

僕にも「イイコー」と

言ってほしいと思っているでしょう。

筆者 看護師  桔梗

20看護師が見た「s-1 君のエピソード」

s-1君の特徴

     40歳以上の男性 言葉でのコミュニケーションはできません。

    ごみを見ると拾って食べてしまいます。

s-1君のエピソード

s-1君は、どんな所のごみも拾いたがります。

しかし、車社会の現代、

道路へ飛び出すs-1君を、

男子のスタッフが引き留めるのに

力いっぱいで引き留めなければなりません。

s-1君は、

いつもごみが落ちていないか、

気を張っています。

ごみを見ると、勢いよく走り出すのです。

ゆっくりや、ノンビリという言葉は、彼にはないようでした。

散歩や歩行など、

施設の外へ外出するのが大変です。

そんな生活をしているうちに

s-1君は巨大結腸症という病気になりました。

腹部が、大きな車のタイヤが入っているみたいに、

膨れ上がってしまいました。

おなかが苦しいのでしょう。

食事の時間になると、

s-1君はせき込みながら、

食事を詰め込んで、

無理やり飲み込んでいました。

s-1君のおなかは、ポンポンに膨らみました。

とうとう食事が出来ない、

即ち、「食事はいらない」とジェスチャー

表現しました。

病院へ受診しました。

しかし、診断はしていただいたのです。

が、しかし、人工肛門のような、

治療はできないということで、

施設に帰りました。

病院の待合室や、

検査を何とか終わり、

s-1君はほっとしたのでしょう。

施設に戻ってからは、

おなかを温めたり、冷やしたりして、

排ガスを促したりすることに

s-1君は素直に順応していました。

少し排ガスがありました。

食事の時間になり、

食べることが出来るようで、

s-1君は、

食事を全部食べることが出来ました。

少しは、排ガスで、おなかが楽になり、

食べることが出来たのでしょう。

しかし、それが最後の食事でした。

食事を終えて、間もなく、心停止です。

横隔膜を腹部が押し上げ、タンポナーゼを起こしたのでしょう。

人工呼吸をして、救急車で運ばれました。

同じ病院でした。

ドクターも、

救急の医師と、外来の医師は異なっており、

一度は受診した後、

再度、

心停止で運ばれるのは、

異例の事だったのでしょう。

「なぜ、もっと早く受診しなかったのか?」

と救急の医師は言いました。

一般の人は思うでしょう。

こんな知的障害の人は、

高度な医療(人口肛門増設術)など、

できない。

きっとできないであろうと。

しかし、

s-1君はきっと思ったでしょう。

僕は、へたかもしれないし、

間違ったことをして、

失敗もするかもしれません。

でも何度も、

教えてください。

最初から、出来ないと、諦めないでください。

さじを投げないでください。

僕も一人の人間です。

と言いたかったでしょう。

筆者 桔梗

21看護師が見た「s-k君のエピソード」

s-k君の特徴

側彎がある。歩行にやや困難がある。 言葉を理解する能力がある。

両手両足に変形した奇形がある。

s-k君のエピソード

s-k君は、歩くのが遅かったりしましたが、

なんでも一生懸命にやっていました。

側彎と、両手両足の奇形がありましたが、

一人で食事も出来ましたし、

トイレも何とか自分で出来ました。

が、あることがありました。

歩行に問題があるので、補装靴の相談に、

リハビリテーションにいったときでした。

入所の施設でも、

自宅でも(入所の施設を利用する前)、

洋式トイレにおしり洗浄がついてなかったのか、

s-k君は自分でトイレに行きましたが、

「ワ~」という大きな声がして、

トイレに行ってみると、

おしり洗浄を作動するボタンを

押してしまったのでしょう。

少ししか便座に腰かけていなかった

s-k君のお尻の後ろから、

勢いよく、

おしり洗浄の温水が、

吹き出ているではありませんか。

そして上向きに飛び出した温水は、

便座に座っているs-k君に、

降りかかっていました。

まるでシャワーを浴びているようでした。

驚いた施設のスタッフと、

筆者はs-k君に近づきましたが、

私たちも温水を浴びていました。

何とか、おしり洗浄のスイッチを

止めることが出来ました。

あとは濡れたまま、

施設への帰路に立ちました。

冬で衣類が濡れたままで、

s-k君も私たちも、

大変寒かった思いをしました。

そんなs-k君は、

飲み込み間違いの病気、

誤嚥性肺炎を何度も発病しました。

入院を何度かしました。

入院中も、

看護師さんたちにはお世話になりました。

安静にしていてほしいのですが、

それが理解できるはずなのですが、

病室を抜け出して、

スタッフルームに行ったり、

ポータブルトイレを使おうとしないで、

普通のトイレに、

歩いて行ったりしてしまうのです。

安静が必要なのに、

看護師さんも、何度も何度も

説明をしてくださっているのですが、

何せおしり洗浄の事件のように、

なんでも自分でやってみたい人ですから、

周りの人の意見に耳を貸そうとはしませんでした。

誤嚥性の肺炎も、

最初は意外と

短期間の入院で軽快していたのですが、

何度も繰り返すうちに、

難治性の誤嚥性肺炎に

なっていきました。

炎症が取れず、

呼吸も大変になってくると、

動きたくても動けなくなりました。

歩行に困難があり、

手足の奇形があり、

器用性にかけるs-k君でしたが、

自分でやる!」「自分でやる!」と

命尽きるまで思っていたでしょう。

筆者はそう思います。

もっといろんな体験をしたかったでしょう。

もっと知らないことを知りたかったでしょう。

天国で、

いっぱいいろんなことやってみてくださいねと、

筆者は祈ることしかできませんでした。

筆者 桔梗

22看護師が見た「t-s君のエピソード」

t-s君の特徴

60歳以上  男性 言葉を理解できる

言葉でのコミュニケーションができる

一人で買い物(簡単なもの)に行くことが出来る。

一人でおやつを選んで買うことが出来る。

歌を歌うことが出来る。

t-s君のエピソード

t-s君は、入所の施設の生活を

無難にこなせていました。

自分の部屋を大事にしていました。

しかも、

物を大切にする心があり

衣類がほころびたら、

「修理できないか」と

スタッフに交渉したりしました。

施設の中でバザーをします。

地域の人に働きかけ、

いらない物を寄付してもらいます。

それを、

障害者のお母さんやお父さん、

または保護者になっている兄弟の人、

里親の人で、値段をつけ、分類します。

バザーの日はお祭りです。

食べ物も売ります。

みたらし団子や、

焼きそば、クレープ、フランクフルト、

と、簡単なものですが、

地域の人や、

遠くからでも来てくださった人と、

利用者さんも交流し、

自分のお金で買い物をします。

売り場のお手伝いができる利用者さんもいます。

小さい頃からある、

みたらしを食べながら、

バザーに来てくださったお客さんと、

交流をします。

t-s君は、バザーが好きです。

t-s君は衣類も買います。

売り場のお手伝いも出来ます。

みんな嬉しそうです。

ボランティアの人達も来ます。

t-s君は、音楽のボランティアの人と作った、

合唱のメンバーです。

t-s君は音楽が好きです。

歌声も素晴らしいです。

施設の中で、いつも口ずさんでいました。

本番の、バザーの日は、発表会です。

歌声はひびき、みな明るい顔です。

皆が輝いています。

歌を歌っている時は、

知的障害の事は関係ないみたいです。

t-s君は、すばらしい声でうたっていました。

年を重ねていく障害者も、

年に一度の発表会の為に、

目標をもって生活できるのは、

とても素晴らしいことです。

歌声は、

障害を乗り越えたところにあるような気がします。

t-s君は、

毎月バザーをやってほしいと思っているでしょう。

毎月バザーで歌いたいと思っているでしょう。

きっと、

t-s君は、歌でいろんなところへ、

行きたいと思っているでしょう。

歌は心を豊かにしますから。

今も彼の歌声が聞こえるようです。

筆者  桔梗

23看護師が見た「h-t君のエピソード」

h-t君の特徴

言葉を理解し話すことが出来る。

手話ができる。

買い物ができる。

虚言壁がある。

h-t君のエピソード

h-t君は知的障害の施設にいますが、

なんでも自分で出来ます。

洗濯、掃除、食事も自分で出来ます。

さすがに、施設でばかり生活しているので、

食事を作ることは経験がないと思います。

一人で買い物をできる能力はあると思われますが、

残念なことがあります。

おつりがあわず、

隠していたりします。

お金にまつわるエピソードがありそうですが、

大人の施設にかわるまえの、

子どもの知的障害の施設の頃に、

何かあったのでしょうか。

うかがえるのは職員さんへの接し方です。

h-t君は、

職員さんのきびしい言動には、

とにかくこびへつらうように話しかけています。

職員さんの機嫌がよいと、

または

やさしい言葉かけの職員さんとは、

一緒に野球のテレビを見たり、

野球の選手の名前を言って、

職員さんと話したり、たのしそうにしていました。

ひとたび厳しい職員さんですと、

テレビを見ずに、

他の利用者さんのお世話の手伝いをします。

そうして職員の機嫌をうかがっています。

仕方がないのでしょうか。

男の職員がいったん、

大きな声で叱ったり、

「根性を入れる」みたいなやり方の職員も、

以前はいましたから。

現在の施設の職員は、

「支援員」といって、

障害者をサポートすることになっています。

昔は、「先生」と呼ばせ、「指導員」でした。

時代とともに、

名称だけが移り変わるものです。

施設の中で生活している利用者さんは、

実際、特に変わりなく暮らしています。

知的障害者の処遇は、

今後どうなっていくのでしょうか。

収容型の入所施設は、

今後増えるのでしょうか。

グループホームのような、

個人を大切にして、

地域と連携していけるのでしょうか。

まだまだ、

先の世の中にならないと、

変わらないでしょうか。

日本中の、

入所している知的障害の人達も、

高齢になっていきます。

職員の機嫌をうかがわない生活を

してもらいたいものです。

k-t君も、

もっと気兼ねなく

野球見たりしたいなあと、

思っているでしょう。

h-t君は、手話が出来ます。

h-t君のお父さんが、耳が聞こえないからです。

保護者会でも、聞こえないh-t君のお父さんと、

一緒に参加して、手話で通訳をしています。

高齢のh-t君のお父さんは、嬉しそうにしています。

h-t君は、特に重い病気にもならず、

いつも元気に生活しています。

お家に外泊する時は、

親子は楽しそうに出かけていきます。

お金のトラブルを解決することは、とても重要ですが、

h-t君の親子にとって、今後何が必要になるでしょうか。

グループホームの少人数で暮らせて、

自由に親子が会うことが出来て、

他の利用者さんのお手伝いをして、

喜ばれる生活でしたら、

h-t君は、とてもうれしいでしょう。

そして、聴力障害の施設のお手伝いも

出来るでしょう。

高齢者向けの施設でもお手伝いできるでしょう。

だってh-t君は、いい人ですから。

筆者  桔梗

24看護師が見た「h-t君のエピソード」

h-t君の特徴

構音障害があります。

一人で買い物に行くことが出来ます。

パン屋さんの仕事をしています。

h-t君のエピソード

医学的には発音が正しく出来ない症状を

構音障害(こうおんしょうがい)と言います。

一般には「発音の操作」と理解されているようですが、

狭い意味では

咽頭以上の

音声器官の操作の事を言うそうです。

喉頭の障害である音声障害とは区別さるそうです。

言語学上では「調音」と言うそうです。

h-t君は、構音障害がありました。

咽頭などの構音に関係する障害があったか、

身体の障害があったかどうかは、

専門機関に相談したことはありませんでしだ。

h-t君は、かなりの知能の持ち主で、

毎月の小遣いの使い方や、

パン屋さんの仕事でも、

大活躍できていました。

毎月出版される雑誌を買う目的で、

一人で遠くまで、

歩いて買い物に行ったり、

土曜日と日曜日に行う、

おやつの時間(コーヒータイム)では、

ちゃんと、

お得なお菓子を考えて買ってきます。

入所生活をしている利用者さんで、

一人では買うことの出来ない人には、

施設のほうでまとめて買ったおやつを、

一人一人に分けます。

h-t君のように、

自分で買い物に行き、

おやつを買うことが出来る人は、

ほんの少数です。

その少数の利用者さんは、

自分の買ってきたおやつを、

他の利用者さんのおやつと、

「かえっこ」することも、

ときにはあります。

ひと月に一回は、

誕生会を行います。

だれでも、誕生日を祝ってもらうのは嬉しいですよね。

誕生会では、ショートケーキを食べます。

以前は、カロリーのことは

考えられていませんでした。

普通のケーキ屋さんのケーキを買っていました。

最近では、

厨房で作ってもらうことも出来てきました。

なんでも、気にせず食べたいですよね。

筆者もおかしや、ケーキは大好きです。

成人の施設では、

肥満、糖尿病、高脂血症等、

身体の問題を抱えている人が、

出てきて問題になってきています。

ふだんの食事の制限が必要です。

しかし、おやつやケーキを

みんなと一緒に食べたいですし、

一人だけ食べないという訳にはいきません。

普段の食事のカロリーの問題は、

主食の米飯の量は、

調整の必要がありますが、

お茶碗の大きさが変わったりすると、

利用者さんで、理解できる人は、

小さいお茶碗にした理由を

説得するのがなかなか困難です。

施設は、病院とは違いますが、

最低限のカロリーの問題への配慮が必要です。

なかなか食事のカロリーの問題は、

障害のない人でも、

理解できてもなかなか、実行には困難な面があります。

食事の関係する問題は、

奥が深いので、

別の機会にお話ししたいと思います。

さて、

h-t君は、けんかはあまりしませんでした。

しかし短気でした。

構音障害があるために、

h-t君が言おうとしていることが、

相手に伝わっていないときは、

あわてて、

何度も同じ話を、

大きな声で話してしまいます。

大きな声を出すと、

興奮していると勘違いされてしまうことも、

たくさん出てきます。

パン屋さんの仕事も、

楽しそうですが、いざ、

接客となると、

構音障害があるせいで、

小さい声になってしまいます。

はっきり話せないことを、

恥ずかしいと思っているのでしょう。

もっと自信を持ってほしいものですし、

施設側が、

もっとほめて、

h-t君の働きを、

認めていってあげるといいでしょう。

h-t君が、知的な障害を乗り越えることも大切ですが、

構音障害の理解を深めることが、

必要でしょう。

家庭に帰っても(一時帰宅)、

彼の構音障害の理解がないため、

自宅のテレビを投げて、

壊してしまったエピソードもありました。

家族の人や、

h-t君を知っていてくださる人への、

啓蒙が必要でしょう。

そして、

h-t君は、もっといろいろなところで、

仕事ができるようになったり、

行きたいところや、

いろいろな事に、

チャレンジしたいと思っているでしょう。

筆者は、町で出会ったら応援したいと思っています。

「がんばれ!h-t君」と。

筆者   桔梗